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お江戸ありんす草紙

お江戸ありんす草紙 概要

一途で健気なおいちと、お転婆でまっすぐな千代姫。
顔はそっくり、でも性格は正反対の二人ですが、自分の信じた道を貫き通す姿は存外似ているのかも?
そんな二人を支えてくれる周囲の登場人物は、みな人情がありながら、一癖も二癖もある変り者たち。
ありんす草紙に登場する人物達を紹介します。

お江戸ありんす草紙 「瓜ふたつ」「百両の秘本」 登場人物紹介

■おいち
ゆえあって物心ついた頃から花魁になるべく吉原で育てられたが、実は父親は青海藩藩主の高森勝久。 本が大好きで、吉原を脱出した後は、地本問屋の蔦屋(耕書堂)と、貸本屋の舞鶴屋で代わる代わるに働くようになる。 本で一杯の、蔦屋の蔵に住んでいる。
■千代姫
おいちの双子の姉。青海藩の姫君にして、一人娘。 本好きのおいちと違い、じっとしていられないじゃじゃ馬娘。 趣味は、槍の稽古と芝居見物。
■刀秀
氏素性は不明。蔦屋の蔵に住んでいるので、蔵野、蔵さんなどとも呼ばれている。 蔵では、いつも絵を描いている。 愛想がないが、おいちには優しくしてくれる。 大男で、左眼に眼帯をしている。剣豪。
■石之丞
千代姫の侍講(先生)を務める侍。真面目な性格で、千代姫の我儘に振り回されながらも、一心に仕えている。 ちょっと細かい性格なのが、長所でもあり短所でもあり。 おたかからおいちの素性を聞き、舞鶴屋にも本をちょくちょく借りに来る。
■半次
貸本屋、舞鶴屋の一人息子。幼い頃に、おいちを「吉原から連れ出してやる」と息巻いたが、助けることは叶わず、むしろ、おいちのほうが脱走して自分の元へやってきたのに感動する。しかし、肝心のおいちが、自分より石之丞に関心があるようなので、心配している。 舞鶴屋を江戸一の本屋にするのが夢。
■おたか
千代姫の乳母。おいちの素性を知っている数少ない人物。 吉原へ連れていかれたと聞いて心を痛めている。
■嘉兵衛
半次の父親。吉原に汗水垂らして貸本を担いでいく。 半次のような調子のいいところがなく、ひたすら真面目な性格。
■おたか
千代姫の乳母。おいちの素性を知っている数少ない人物。 吉原へ連れていかれたと聞いて心を痛めている。
■イネ
半次の母親。すっとこどっこい。本屋の女房の割に、本を読むのが得意でない。 芝居見物だの大名行列見物だのが好きで、けっこう野次馬根性がたくましいと思われる。 おいちを実の娘のように可愛がっている。 人の名前が覚えられないのは、きっと作者譲り。
■蔦屋重三郎(実在)
江戸を代表する地本問屋、耕書堂(蔦屋)の主人にして、山東京伝、歌麿などを売り出した敏腕プロデューサー。 今で言うところの、編集者と出版社社長、本屋さんを兼任。 松平定信の寛政の改革のお蔭で、出版した本が発禁処分、身代半減の刑を食らい、次の打開策を練っている。 蔦重のプロデュース力と、江戸っ子らしい反骨精神に、現代にもファンがいる模様。 例えば現在のTSUTAYA(蔦屋書店)、江戸時代の蔦屋が続いてきたわけではないが、蔦重の心意気に感じ入って、店舗名を決めたようである。
■山東京伝(実在)
江戸の売れっ子作家。文も書ければ絵も描ける二刀流。 吉原に入り浸っていて、女郎を身請けしたが、愛妻家。 洒落っ気と人情味のある作風と、面倒見の良い人間性に惹かれてか、現代もファンが少なくない。 松平定信の寛政の改革のお蔭で、出版した本が発禁処分、手鎖(手錠)の刑にあってしばらく萎えていた。
■瑣吉(実在)
耕書堂で手代をしている。元は旗本に仕えていた武士で、本が大好きな勉強家。 頑固で気難しく、やや付き合いにくい性格。薀蓄大魔王。 戯作者目指しており、後に押しも押されぬ大先生になる。
■重田(実在)
北町奉行、小田切土佐守直年が大阪で南町奉行をしていた頃に、配下として働いていた武士。 材木問屋に婿入りするも、離縁し、戯作者目指して江戸へやってくる。 後に江戸を代表する超売れっ子作家に。
■小田切土佐守直年(実在)
駿府で遠国奉行→大坂で南町奉行→江戸で北町奉行。 町奉行の経験がとても長い。 今でいうところの、ベテラン裁判官だったと思われる。
■小田切九郎
伴五郎の弟。気が弱い。 兄に振り回されて、文字通り苦労している。
■瑞祥院
千代姫とは、血のつながらないお祖母ちゃん。いまひとつ千代姫と反りが合わず、小言ばかり言っている。
■松姫(お松の方)
勝久の後妻にして、千代姫の継母。バツイチ。 早く千代姫を追い出したいと思っている。
■白河公 松平定信(実在)
将軍吉宗の孫だが、白河藩に養子に行き、将軍になりそびれた。 天明の飢饉で素早く立ち廻り、白河藩で餓死者を出さなかったため、老中首座に抜擢される。 寛政の改革で、文武の称揚、質素倹約の薦め、出版統制、風俗の取り締まりなどを行った。 しかし、引き締めしすぎたためか、ブーイングを受け、 「世の中に 蚊ほどうるさきものはなし 文武というて夜も寝られず」 などという狂歌で後の世に知られてしまう。 風流人でもあり、文化人を集め、庭園(公園)の建設や、美術品の収集に努めた。書物もあれこれ書いている。
■鎌介
南町奉行所の手札を持つ岡っ引きだが、もともと鼈の鎌介の異名を持つ強請屋。 鼈の呼び名にふさわしく、食いついたら放さないしつこさを持つ。
■おたか
千代姫の乳母。おいちの素性を知っている数少ない人物。 吉原へ連れていかれたと聞いて心を痛めている。
■太助
鎌介の子分。小太り。鎌介には従順だが、あまり智慧が回らないので、いつも叱られてばかりいる。
■要人
狐目の忍者。怪しい薬を使う。 名前は「かなめ」と読む。ぱっと見、読みにくいが、今でいうキラキラネームみたいなものである。 やることなすこと、何か怪しい。
■将殿
白河公の隠密を束ねる初老の男。
■桂川甫周(実在)
将軍侍医にして、蘭学のエキスパート。 江戸の十八大通にも数えられる通人。
■森島中良(実在)
将軍侍医桂川甫周の弟。桂川家の弟には、代々変り者が多かったらしい。 蘭学から戯作、狂歌までマルチにこなす。
■玄庵
千代姫のかかりつけの医者。 もともと漢方医の家系だったが、桂川甫周に弟子入りして、蘭学にも通じている。
■八十五郎
石之丞と同じ道場の仲間。番方を務めている。 強い者と手合せするのが好き。文よりは武に勝る、裏表のない性格。

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